監視業務から設計へ──インフラエンジニアが「止まらないシステム」を設計するための3ステップ

監視業務は設計の入り口。アラートの意味を読み、通知フローを改善し、構成図に落とし込む3ステップを解説。

はじめに:監視業務は“設計の入り口”になる

「監視って、ずっとやってても意味あるの?」
SESや駆け出しの頃、僕もそう思っていました。

でも、アラートはシステムの“声”。
ログを読むことは、設計者との会話です。
現場で積み重ねた対話が、設計力につながります。


ステップ1:「ただ見る」から「意味を読む」へ

アラートの理由、閾値の根拠、通知の流れを“設計者の視点”で考える。
ログは、設計の痕跡です。

具体例:

  • イベントID一覧を自分の言葉で説明できる
     例:「このイベントIDはサービス起動失敗。依存サービスが遅れてる可能性がある」
  • 通知フローの設計意図を読み解く
     例:「この通知は誰に届くべきか?なぜこのタイミングか?」
  • 閾値の根拠を構成と負荷から説明できる
     例:「Webサーバ3台構成で、1台落ちても耐えられる設計だからこの値」

ステップ2:「対応する」から「改善する」へ

監視ルールや通知フローを提案できれば、運用要員から一歩抜け出せます。
提案までは難しくても、「なぜこの設定なのか?」を考えるだけで設計力は磨かれます。

具体例:

  • アラートの重要度を判断できる
     → 不要/重要/クリティカルの分類ができる
  • 通知の再送タイミングや通知先を見直せる
     → 運用負荷を減らし、対応精度を高める
  • 閾値の根拠を説明できる
     → システム構成や負荷特性を理解している証拠

ステップ3:「任される」から「設計する」へ

要件定義書や設計書を読み、構成図を描き、監視設計に落とし込む力をつける。
「止まらないシステム」を設計するには、現場の声を拾える設計者であることが重要です。

具体例:

  • 「24時間365日稼働」「障害時は5分以内に検知」
     → ping監視+サービス監視+ログ監視/監視間隔1分/即時通知
  • 「夜間バッチ処理あり」
     → CPU閾値を時間帯で調整/通知条件に“継続時間”を加味
  • 「複数拠点で冗長化」
     → 片系障害は警告、両系停止でクリティカル通知/構成図に監視視点を追加

得意分野を作るとキャリアが変わる

監視業務中に、Windowsサーバ・Linuxサーバ・ネットワーク・ファイアウォールなどに的を絞る。
面談で「何ができるか」より「何を深く理解しているか」が問われます。

得意分野があると、設計者としての信頼につながります。


おすすめ書籍:設計思考を深める一冊

『インフラ設計のセオリー』
設計書を読んで「なぜ?」が止まらなくなった頃、この本が道標になりました。

👉 インフラ設計のセオリー
インフラ設計の“なぜ”が詰まっていて、設計者の視点を養うのにぴったりの一冊です。


実践例:OSS監視ツールを自分で構築してみる

監視業務を“設計者の目”で見るためには、実際に監視ツールを構築してみるのが一番の近道です。

おすすめは Zabbix。OSSで無料、ドキュメントも豊富で、個人でも構築可能です。

Zabbix構築で得られる視点:

  • 監視項目の選定
     → CPU、メモリ、ディスク、サービス、ログなど、何を監視すべきかを自分で考える
  • 閾値の設定と通知ルールの設計
     → どのタイミングで通知するか?誰に届けるか?再通知はどうするか?
  • 構成図と監視設計の連携
     → サーバ構成に応じて監視対象を分ける/冗長構成なら片系障害は警告、両系停止でクリティカル通知
  • テンプレートやマクロの活用
     → 再利用性のある監視設計を考えることで、標準化の視点が身につく

参考リンク:


監視を“使う側”から“設計する側”へ。
Zabbix構築は、設計者としての第一歩になります。

おわりに:現場力は設計力に変えられる

監視業務は、ただの運用ではありません。
「止まらないシステム」は、現場の声を拾える設計者がつくります。

若手やSESの方こそ、今の現場を“設計者の目”で見てみてください。

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元記事はこちら(note)

この記事は、私がnoteで書いた「現場から設計へ」の実践記をベースに再構成しています。
現場の空気感などより“リアルな語り”を読みたい方はぜひこちらもどうぞ👇

noteでは、現場のリアルと設計哲学を交えながら、若手やSESの方に向けたメッセージを発信しています。

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